ソウルADEXとは?
イメージ(写真提供:韓国観光公社) 2023年秋、ソウルADEX2023が開催されます。ADEXとは、「 Aerospace and Defense Exhibition」の略で「ソウル国際航空宇宙・防衛産業展示会 / ソウル・エアショー」などと訳されたりもします。一年おき(奇数年)に開催されることになっており、6日間にわたる軍用品の展示会・商談会とエアショーとで構成されます。
平日は「ビジネスデイ」として業界関係者のみ、土日の週末は「パブリックデイ」として一般公開されています。平日のビジネスデイは公式の招待カードを持っている人が参加しますが、招待状がなくてもオンラインで事前登録をしてチケットを買えばトレードビジターとして見学可能です。
防衛産業のトレードショーでは、巨大な出展テントが設けられており、航空機のみならず軍用車両やドローン、ミサイルなど韓国やアメリカからも出展されています。日本では一般も見学可能な防衛産業のビジネス展示会を含めた催しはないので、軍事・航空ファンとしては必見のイベントです。
エアショーや地上展示では韓国空軍の軍用機のほかアメリカ軍の機体も参加します。韓国空軍のT-50Bで編成されるアクロバット飛行チーム「ブラックイーグルス(Black Eagles)」の展示飛行が目玉となるイベントです。日本から最も近く、気軽に行きやすいソウルで開催されるエアショー&国際防衛トレードショー。日本国内の基地祭に行き慣れた人ならぜひ一度行かれることをおすすめします。
ソウルADEX 2023の概要
ソウルADEX2023の概要は次の通りです
- 正式名称
- ソウル ADEX 2023 (ソウル国際航空宇宙 & 防衛展 2023)
- 開催日付
- 2023年10月17日(火)~22日(日)
ビジネスデイ 2023年10月17日(火)~20日(金)
パブリックデイ 2023年10月21日(土)~22日(日)
- 開催場所
- ソウル空港(空軍基地:ソウル市郊外南東部)
- 主 催
- KAIA (韓国航空宇宙産業協会)
KDIA (韓国防衛産業協会)
KOTRA (韓国貿易投資促進庁)
参加するにはチケットの購入が必要です。2023年度のチケット申し込み・購入方法や価格等の詳細については、公式ホームページ(https://seouladex.com/)で決まり次第発表があります。ちなみに前回の2021年度はコロナ禍ということもありオンラインによる事前購入のみで会場での販売はなく、価格は12,000ウォン(日本円で約1,200円)でした。
昨年のソウルADEX の様子
前回のADEXは2021年10月19日(火)~23日(土)にかけて開催されました。コロナ禍ということもあり、日曜日まではありませんでした。ビジネスショーを兼ねていることもあって、来場者向けのサービスはずいぶんと充実しています。コンビニの仮設店舗や電子レンジや給湯器も設置。インスタントラーメンの自動調理器まであるという充実ぶりです。飲食は昼食時には混雑しますが、時間をずらして購入すれば巻き込まれることは少ないでしょう。
トイレに関してもしっかりしたコンテナ型の仮設トイレが設けられ、ペーパータオルまで設置してありました。日本の航空祭ではなかなかここまではありません。長い行列ができることも無く、1-2分ほどで利用できる事がほとんどです。
航空宇宙・防衛産業のパビリオンには、韓国国産のステルス戦闘機KF-21をはじめ、韓国製ヘリコプター・スリオン、現代-起亜グループの戦車などの軍用車両も展示されていました。
地上展示には、韓国でも導入が進められているF-35AやF-15の韓国軍バージョン地上攻撃型であるF-15K、主力戦闘機のF-16C/Dなど韓国空軍の現用機群が展示されました。韓国空軍はロシア製ヘリコプターのカモフKa-32を運用しておりこれも展示されていました。
また韓国の韓国航空宇宙産業(KAI)がロッキード・マーティンから技術的支援を受けて開発・製造、2002年に初飛行した練習機T-50も展示されました。この戦闘攻撃型FA-50も展示されます。T-50はアクロバット飛行チームのブラックイーグルスにも採用されています。
このほか、KT-1練習機の攻撃機型、KA-1、保存期のP-51やF-86Fセイバーなども展示されています。在韓米軍からは、A-10、オスプレイ、P-8A、C-17などが展示されていました。
デモンストレーションでは韓国空軍の使用機種による編隊飛行とブラックイーグルスによるアクロバット飛行があり、10月22日(金)は午前中に1回、23日(土)は午前と午後の2回実施されました。アメリカ空軍のF-16、C-17による飛行も両日1回ずつ披露されています。
混雑も激しくはなく、展示やイベントを快適に見ることができます。
ブラックイーグルスの飛行科目を数えてみると全部で25科目。8機で繰り出される技は見どころ満点です。次の段落で詳しく紹介します。
ソウルADEX 2023の魅力のポイント
ソウルADEX 2023は魅力のポイントがたくさんありますので、整理してみましょう
ポイント1:日本の航空祭では見られない航空機が見られる。
日本の航空祭を見慣れた目から珍しいのは、現役で使用されているF-5EやF-4Eです。特にF-5EはF-16C/Dの次に使用機数が多く、韓国空軍を支える重要な機種となっています。同基地では、F-86FとP-51がきれいに保存されており、これも魅力の一つです。韓国軍機を写真に収めるチャンスで、このイベントに勝るものはありません。
在韓米軍の軍用機のデモ飛行はなかなかのものがあります。中でもC-17のデモ飛行はその短距離離着陸性能を見せつけて、着陸した後でエンジンのリバースによってバックしながらハッチを開けて中から手を振っていました。あんな大きな飛行機が自力でバックする姿などなかなか見られるものではありません。
それと、もう日本では見られなくなったファントムの編隊飛行が見られます。ファントムファンにとっては本当の見納めになるかもしれません。
また、韓国軍は西側諸国としてはめずらしくロシア製ヘリのカモフKa-32を運用しており、2重反転ローターの珍しいヘリを間近で見られるのも貴重な体験になりそうです。
ポイント2:意外にアクセスが良く快適。
ADEXはソウル市郊外の南西の城南(ソンナム)市の空軍基地で開催されます。アクセスは大変良く、ソウルの中心街である江南エリアから地下鉄で30分程度、一番近い駅の牡丹(モラン)から歩いて15分程度でいくことができます。基地内でのトイレや物販も整っていてかなり快適です。
ポイント3:ブラックイーグルスの飛行展示が見られる
大韓民国空軍本部直轄第53特殊飛行戦隊隷下の曲技飛行隊ブラックイーグルスのアクロバット飛行が見られます。2021年はパブリックデイの2日間に3回の飛行展示を行いました。日本の航空祭で、ブルーインパルスは最後の飛行展示として1回しか行いませんが、2日間で3回も行うサービスぶりがすごいです。
世界的に有名な米海軍のブルーエンジェルズも日本のブルーインパルスも6機での編成ですが、ブラックイーグルスは8機編成。ブルーインパルスなら2機で行うところの演技科目であるコークスクリューもカラースモークをなびかせながら4機で行うので迫力満点。ブルーインパルスが正面から行うところ、彼らは滑走路に平行に低空で飛びながら右から左に横でやります。T-50やFA-50を海外へ輸出しようとしている韓国なのでかなり積極的な飛行展示です。
ブラックイーグルスの25の演技科目のうち、注目すべき5科目をご紹介しましょう。
Taegeuk(テクグ:三大極)
韓国の国旗の真ん中の部分を2機で描きます。円の真ん中にきれいなS字を直径ぴったりに描く技です。
Double Hellix
先ほどちょっとご紹介しましたが、4機で行うコークスクリューです。らせんを描く2機はそれぞれ逆回転をします。
Victory Break
ブラックイーグルスの最後の2科目の一つで一番の見どころです。8機が正面から進入して観客に向かって扇形に見えるよう上方に散開します。
Tornado Landing
8機が急降下から等間隔に散開するレインフォールをねじりながら行う科目です。スモーク痕が渦巻き状になります。このまま、一列になってランディングになります。
写真撮影のための情報をつけ加えておきましょう。使用滑走路は南北方向(RW01/19)です。このイベントは空港の東半分のエリアを使って行われるため、午前中が左前方からの光で、午後は完全に逆光となります。西側半分は軍用エリアで、立ち入りはおろか外部から写真を撮ることも禁止されていますので注意が必要です。(Google mapのストリートビューですらその周辺だけ欠けているようです。)
ソウルADEX 2023に行くには?
ソウルADEX 2023に行く方法をご紹介しましょう。このイベントを堪能するのに最適なのは3日間の行程を組むのがおすすめです。
成田発着、ソウル仁川空港からスタートです。時間に余裕をもってADEXに行きたい日の前日入りをおすすめします。次の日の朝から行動でき、丸一日使えますのでたっぷりとパブリックデイを楽しむことができます。2日目の夜と3日目の飛行機の時間までソウル市内観光などはいかがでしょうか。
ホテルは交通の便利な中心街に予約されることをお勧めします。ソウル市内は地下鉄が発達しておりどこへ行くにも地下鉄が便利です。
路線は色分けがしてあり駅名は漢字と英語、日本語でも表記がありますので、ハングルのわからない日本人でもわかりやすくなっています。城南(ソンナム)市にあるADEX会場、ソウル空軍基地へは地下鉄8号線の牡丹駅(モラン駅)から徒歩で15分。当日はシャトルバスも運行されているようです。シャトルバスは時間帯によりますが、混雑せずに乗ることができるようです。
2021年のADEXでは、コロナの影響もあってか、さほど混雑は見られませんでした。今後の感染状況の影響もあると思いますが、パブリックデイは2日間あり分散しますので、日本の基地祭ほどの混雑はないものと思われます。
東武トップツアーズでソウル3日間フリープランとして、下記のプランを用意しています。
あわせて見てみたい、世界のエアショー
このほかにもぜひ見てみたい世界のエアショーをご紹介しましょう。
チノ・エアショー
アメリカのカリフォルニア州、チノ空港にあるプレーンズ・オブ・フェイム航空博物館(Planes of Fame Air Museum)で5月に開催されているエアショーです。第2次大戦中の軍用機を多数飛行可能な状態で保存している博物館として世界的に有名です。
チノ・エアショー見学は世界中の軍用・航空機マニアの憧れでしょう。日本の零戦52型がただ1機だけオリジナルの栄エンジンで飛行できる状態で保管されていることでも有名です。ロサンゼルス市内から車で1時間ほどのところにあります。
パリ・エアショー
パリ・エアショーは隔年開催、来年で54回目を迎える歴史ある航空ショーです。2023年は、6月19日(月)~25日(日) 1週間の日程で、パリ郊外のル・ブールジェ空港で開催されます。世界的な航空宇宙機器の見本市として各方面から注目を集めており、ボーイング社やエアバス社をはじめとする航空機メーカー、関係する企業が多数出展するイベントです。前回は日本のP-1やC-2も出展しました。
展示飛行も多彩で、Su-35など東側も含めた世界中の軍用機が飛び回るさまを見られる数少ない機会です。アクロバットチームの飛行展示は、フランス空軍アクロバットチーム「パトルイユ・ド・フランス」。東京オリンピック閉幕式で、ご覧になった方も多いでしょう。ブラックイーグルスを上回る9機編隊のアクロバットチームです。
三沢基地航空祭
青森県三沢基地はF35A・E-2Cとアメリカ軍のF-16の基地として日本のほかの地域では見られない今最もホットな機種が集まる航空祭です。F-35Aの大編隊はここでしか見られません。米軍のデモフライトチームは、アメリカ空軍の太平洋航空団(PACAF)所属のF-16戦闘機によるアクロバット飛行チームです。 1995年からは三沢基地を拠点としています。日本各地の航空祭では、低空できわどい神業的飛行を繰り返していつも観客を驚かせます。ソウルADEXで行われる米軍のF-16展示飛行も三沢基地から出張しています。
まとめ
イメージ(写真提供:韓国観光公社) ソウルのADEXは比較的安価に見学することのできる海外の防衛見本市&エアショーです。東京からですと、国内で行われる南九州の鹿屋エアメモや新田原基地航空祭に出かけるより安くなるかもしれません。
交通至便な大都市ソウル近郊で行われるところもポイントの一つ。ぜひ来年の予定に楽しみとして加えてみてはいかがでしょうか。